9月24日締切|スマート農業・農業支援サービス補助金で何ができるのか
農業支援サービスの立上げ・事業拡大で申請する場合、令和8年9月7日(月)17時までに書類等確認機関の事前確認を受ける必要があります。
「農業支援サービスの立上げ・事業拡大・流通販売体系転換支援」で申請する場合、令和8年9月7日(月)17時までに、書類等確認機関による申請書類の確認を受ける必要があります。
この事前確認を受けるには、その時点で申請書類がほぼ整っている必要があります。「9月24日までに出せばよい」と考えて準備を始めると、実務上は間に合わない可能性があります。

農業者・農業法人・農業支援サービス事業者の皆さまにとって、令和8年8月から9月にかけてとくに注目すべき制度が、農林水産省の「スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業」(令和7年度補正予算)の第5次公募です。
本公募は令和8年8月5日に開始され、最終の公募受付期限は令和8年9月24日17時です。ただし、農業支援サービスの立上げ・事業拡大・流通販売体系転換支援で申請する場合には、事前に書類等確認機関の確認を受ける必要があり、その受付期限は令和8年9月7日17時とされています。
行政書士やまと総合法務事務所でも、現在、令和8年9月7日の事前確認締切に向けて、スマート農業機械の導入、農業支援サービス事業の立上げ、作業受託体制の構築に関する申請支援を進めています。
今回は、この補助金で何ができるのか、どのような事業者に向いているのか、そして申請準備で何を確認すべきかを、行政書士実務の視点から整理します。
1.今回の補助金のポイント
今回の制度は、単なる農業機械の購入補助ではありません。ポイントは、スマート農業技術を活用して、農業現場の人手不足、省力化、作業受託、地域農業の維持、流通販売体制の改善につなげることにあります。
対象となる取組は、大きく次の2つに整理できます。
- スマート農業技術と産地の橋渡し支援スマート農業技術を産地に導入し、地域の作業体系に定着させる取組。
- 農業支援サービスの立上げ・事業拡大・流通販売体系転換支援地域の農業法人や事業者がスマート農機を導入し、複数の農業者に作業受託やサービスを提供する取組。このうち流通販売体系の転換は「整備事業」として区分されます。
2.補助率と上限額
類型によって補助率も上限額も大きく異なります。まず、自分の取組がどの類型に当たるのかを確定させてください。
| 類型 | 補助率 | 国費の上限 |
|---|---|---|
| スマート農業技術と産地の橋渡し支援 | 定額 | 500万円 |
| 農業支援サービスの立上げ・事業拡大(推進事業) | 定額 | 1,500万円 (生産方式革新実施計画の促進事業者は3,000万円) |
| 同上のうちスマート農業機械等の導入 | 1/2以内 | 1,500万円 (機械導入時は3,000万円、促進事業者かつ計画と一致する場合は5,000万円) |
| 流通販売体系転換支援(整備事業) | 1/2以内 | 3億円 |
※ 補助率・上限額は公募要領および事業説明資料によります。要件の詳細は必ず最新の公募要領でご確認ください。
スマート農業技術活用促進法に基づく生産方式革新実施計画の認定を受けていると、上限額が引き上げられます。設備投資の規模が大きい場合は、計画の認定と補助金の申請を並行して検討する価値があります。
3.申請先と提出方法|電子申請ではありません
申請は、地方農政局等の9機関(北海道農政事務所、東北・関東・北陸・東海・近畿・中国四国・九州の各農政局、内閣府沖縄総合事務局)へ、都道府県ごとに指定されたメールアドレスへ送付する方法で行います。
提出先のメールアドレスは公募要領の別掲で指定されています。管轄と送付先を最初に確認してください。
また、事前確認を行う書類等確認機関は一般社団法人 農林水産航空・農業支援サービス協会です。事前確認が必要な類型では、この機関の確認を受けたうえで、地方農政局等へ申請することになります。
4.スマート農業技術と産地の橋渡し
スマート農業技術を産地に導入し、実際の農業経営や地域の作業体系に定着させるための取組です。
例えば、自動操舵トラクター、直進アシスト機能付き田植機、ドローン防除、センシング技術、可変施肥、収量・作業データの活用、産地単位での実証・普及などが想定されます。
この類型では、単に機械を導入するだけでなく、産地や地域でその技術をどのように活用し、どのような効果を出すのかが重要になります。
5.農業支援サービスの立上げ・事業拡大
実務上、とくに相談が多いのが農業支援サービス事業に関する申請です。これは、農業者自身がすべての機械を保有するのではなく、地域の農業法人や事業者がスマート農機を導入し、複数の農業者に対して作業受託や機械作業サービスを提供する取組です。
具体例としては、ドローン防除サービス、水稲・麦・大豆等の作業受託、野菜・畑作物の播種・定植・収穫・運搬作業、スマート農機を活用した耕起・施肥・防除・収穫、農業機械専用運搬車を用いた広域作業対応、収穫後の選別・調製・出荷支援などが考えられます。
この補助金は、農業機械を単に「自社で使うため」に導入するだけではなく、地域の農作業を支えるサービス事業として展開する場合に、とくに検討価値があります。

6.この補助金で導入が想定される機械・取組
実際の申請では、導入する機械やサービス内容が事業計画と整合していることが重要です。次のような機械・設備・取組が検討対象になり得ます。
| 分野 | 導入候補となる機械・技術 | 主な工程 |
|---|---|---|
| 水田作・稲作 | 自動操舵トラクター、ロボットトラクター、直進アシスト田植機、可変施肥田植機、農業用ドローン、収量・食味センサー付きコンバイン、自動水管理システム、営農管理システム | 耕起、播種、田植え、防除、施肥、水管理、収穫 |
| 畑作・露地野菜 | 自動操舵トラクター、畝立て・播種・定植関連機械、農業用ドローン、ブームスプレーヤー、収穫機、運搬車、選別・調製機、作業進捗管理システム | 播種、定植、防除、施肥、収穫、運搬、選別・調製 |
| 果樹・樹園地 | 農業用ドローン、リモコン草刈機、自動追従運搬車、環境・土壌水分センサー、自動かん水システム、非破壊選果機、光センサー選果機 | 防除、草刈り、運搬、かん水、収穫判断、選果 |
7.申請で重要になるのは「機械」よりも「事業計画」
補助金の申請では、導入機械の性能や価格に目が向きがちです。しかし、審査・事前確認の実務では、機械そのもの以上に、需要、継続性、機械仕様と事業内容の整合性が重要になります。
農業支援サービスとして申請する場合、誰にサービスを提供するのか、何戸の農業者が利用するのか、どの作物を対象にするのか、どの作業を受託するのか、年間どの程度の面積を見込むのか、料金設定は妥当かを具体的に整理する必要があります。
また、補助金で機械を導入しても、導入後に稼働しなければ意味がありません。年間稼働日数、対象面積、作業単価、売上見込み、燃料費・人件費・修繕費、オペレーター体制、保険加入、故障時の代替対応、事業終了後の継続性まで含めて検討する必要があります。
8.当事務所が現在取り組んでいる支援
当事務所では、農業法人、農地手続、スマート農業、農業関係補助金の支援を行っており、現在も本補助金の申請準備に取り組んでいます。
具体的には、導入予定機械が補助対象になり得るか、事業目的、対象作物、対象工程、利用面積、導入効果、見積書・カタログ・仕様書の整合性を確認し、事業計画への反映を支援しています。
農業支援サービスとして申請する場合には、サービス内容、料金体系、利用予定者、利用予定面積、作業時期、オペレーター体制、収支見込み、継続的な事業運営の見通しを整理します。とくに、ドローン防除、スマート農機による作業受託、地域内農業者へのサービス提供を検討している場合には、需要見込みの整理が重要です。
令和8年9月7日の事前確認締切に向けて、次の書類の整合確認を行っています。
- 事業実施計画書
- 応募申請書
- 見積書
- カタログ
- 機械リース計画書
- 農業機械専用運搬車導入理由書
- 需要見込み資料
- 利用予定者・作業面積の整理資料
- 収支計画
- 添付資料チェックリスト
また、スマート農業の導入は、農業法人化、農地の利用権設定、農地所有適格法人の要件確認、農地法手続、補助金、融資、事業計画と密接に関係します。当事務所では、単発の補助金申請だけでなく、農業経営全体を見据えた支援を行っています。
9.9月7日までに確認すべきチェックポイント
事前確認の締切が迫っているため、今から準備する場合は優先順位を明確にする必要があります。最低限、次の点を早急に確認してください。

- 申請類型はどれか
- 書類等確認機関の事前確認が必要な類型か
- 導入予定機械は何か
- 購入かリースか
- 見積書は取得済みか
- カタログ・仕様書はそろっているか
- 利用予定者は整理できているか
- 対象作物・対象工程は明確か
- 年間作業面積・作業件数は説明できるか
- 料金設定は説明できるか
- オペレーター体制は確保できているか
- 保険・安全管理体制は検討済みか
- 事業終了後も継続できる計画になっているか
とくに、事業計画の数字は重要です。導入機械の処理能力、対象面積、売上見込み、経費、収支見通しが大きくズレていると、事業の実現可能性に疑問が生じます。
10.よくある注意点
- 「9月24日締切」だけを見ていると危険です対象類型によっては9月7日の事前確認が必要であり、9月24日までに申請すればよいと考えていると、実務上は間に合わない可能性があります。
- 自家利用だけでは説明が弱い場合があります農業支援サービス事業として申請する場合、地域の農業者に対してサービスを提供する仕組み、料金設定、受託予定先、作業記録の管理まで検討することが重要です。
- 見積書と計画書の不一致に注意機種名、型式、数量、オプション、税抜・税込、リース条件などが、計画書の記載と合っているかを確認する必要があります。
- 導入後の運用体制が重要です誰が操作し、誰にサービスを提供し、どのように事業を継続するのかを具体的に説明できる必要があります。
11.この補助金を活用すべき事業者
今回の補助金は、次のような方にとくに向いています。
- ドローン防除を事業化したい方
- スマート農機を導入して作業受託を始めたい農業法人
- 地域の農作業を請け負う農業支援サービス事業者
- 複数農家を対象に作業代行を行いたい事業者
- 高齢化・人手不足が進む地域で省力化サービスを展開したい方
- 収穫・運搬・選別・出荷作業を効率化したい方
- 農業法人化や事業拡大と併せてスマート農業を導入したい方
スマート農業は、単なる省力化のためだけに導入するものではありません。地域の農業を維持し、作業を効率化し、売上や利益につながる事業として設計することが重要です。
まとめ|これは「機械購入」ではなく「農業支援サービスづくり」の制度
今回のスマート農業・農業支援サービス補助金は、単に農業機械を購入するための制度ではありません。本質は、スマート農業技術を活用して、地域の農作業を支える仕組みをつくることにあります。
そのためには、どの作業を効率化するのか、誰にサービスを提供するのか、どの機械を導入するのか、どれだけの面積・件数を見込むのか、収支は成り立つのか、導入後も事業を継続できるのかを整理する必要があります。
今回の公募でとくに注意すべきは、令和8年9月7日17時の事前確認締切です。
「9月24日締切」と考えて準備を始めるのではなく、実務上は9月7日までに、かなりの水準まで申請書類を整える必要があります。
行政書士やまと総合法務事務所では、スマート農業の導入、農業支援サービス事業の立上げ、農業法人、農地手続、補助金申請を総合的に支援しています。スマート農機の導入や農業支援サービスの事業化をご検討中の方は、早めのご相談をおすすめします。
※ 本記事は令和8年8月30日時点で農林水産省が公表している公募要領・事業説明資料等に基づいて作成しています。公募期間、対象経費、補助率、上限額、提出先、必要書類は変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領・実施要領および書類等確認機関の案内をご確認ください。採択を保証するものではありません。
やまと-農-は、農林水産省33年・行政書士12年の経験をもとに、国の制度と実際の農業経営をつないで整理します。「うちの場合はどうか」という段階からで構いません。
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