農家の廃業はなぜ増える?
米価下落だけではない農業経営の課題と対策|やまと-農-
農業をやめる理由は、米価だけではありません。
必要なのは、利益・投資・承継をつなぐ「続けられる農業経営」です。
令和8年産米では、各地で概算金が前年を大きく下回り、米価の先行きに不安を感じる農業者も少なくありません。
しかし、農業者の廃業や撤退を「米価が下がったから」とだけ考えると、問題の本質を見誤ります。
帝国データバンクによると、2025年の「農業」の倒産は82件となり、2000年以降で過去最多となりました。また、2026年1~8月の米作農業では、休廃業・解散28件、倒産4件の計32件が生産現場から撤退しています。
しかも、法人を中心とした2025年度の米作農業では、最終損益が増益となった事業者が77.8%、減益でも黒字を維持した事業者を含めると黒字割合は9割を超えています。
つまり、収益が改善しても農業からの撤退は止まっていません。米価は重要ですが、それだけでは説明できない構造的な問題があるということです。
米価だけではない、農業を続けにくくする要因
農業経営では、販売価格の変動に加えて、肥料・農薬・燃料などの資材費、農機・施設の更新費、猛暑や豪雨・病害虫による収量・品質リスクなど、複数の負担が同時に発生します。
さらに、高齢化、人手不足、後継者不足も深刻です。農林水産省の2026年概数では、基幹的農業従事者は98.7万人、平均年齢は67.7歳となっています。

問題は、一つの原因ではありません。
販売価格、コスト、設備、人材、気候、承継という複数の経営リスクが重なったとき、「農業を続ける」という判断そのものが難しくなります。
廃業を防ぐために必要な「3つの経営力」
1 利益を残す力
売上高だけでなく、粗利益、営業利益、資金繰りまで確認することが必要です。品目、販売先、販売方法を分散し、価格変動があっても一定の利益を残せる経営をつくることが重要です。
2 コストと投資を管理する力
農機や施設は高額です。「補助金が使えるから導入する」のではなく、省力化効果、投資回収、借入返済まで含めて判断する必要があります。
3 5年後につなぐ力
後継者、雇用、法人化、農地の集積、地域計画などを含め、5年後・10年後に誰が、どの農地で、どのように経営を続けるのかを考えることです。

「作る計画」だけではなく、「続けるための経営計画」へ。
農業経営改善計画や地域計画なども、本来は単なる申請書を作るための制度ではありません。将来の所得、経営規模、農地、人材、設備投資などを整理し、経営の方向を具体化するために活用することが重要です。
「やまと-農-」ができる支援
やまと-農-では、「利用できる補助金はありませんか」という制度探しから始めるのではなく、まず農業者が抱えている経営課題を整理することから支援を始めます。

農地を確保・集積したい → 農地法、地域計画、農地バンク
法人化・事業承継を進めたい → 農業法人、農地所有適格法人、農地・経営資産の承継
設備投資をしたい → 補助金・融資制度、事業計画、申請手続
省力化・効率化を進めたい → スマート農業、農業機械・施設導入
加工・直売・販路を広げたい → 6次産業化に伴う許認可・行政手続
行政との調整が必要 → 関係行政庁との事前相談、申請・届出の整理
なぜ、こうした支援が必要なのか
農業経営の問題は、それぞれ別々に存在しているわけではありません。
規模を拡大しようとすれば農地が必要になります。農地を集積すれば農機・施設への投資が必要になるかもしれません。設備投資には補助金や融資が関係し、人を雇えば雇用や法人化の問題が生じます。そして将来を考えれば、後継者や事業承継、農地の引継ぎまで検討する必要があります。
一方で、農地、地域計画、農地バンク、補助金、融資、法人化、スマート農業、許認可などは、それぞれ所管する行政庁、要件、申請時期、必要書類が異なります。
経営課題 → 解決方法 → 必要な制度 → 行政手続
制度を探して終わるのではなく、経営課題から逆算して支援策を組み立てる。
これが、農業者が「続けられる農業」をつくるために必要な支援だと、やまと-農-は考えています。
なお、税務、登記、高度な財務分析・経営診断などについては、必要に応じて税理士、司法書士、中小企業診断士その他の専門家と連携することが重要です。
「作る農業」から「続けられる農業」へ
米価は、農業経営を左右する重要な要素です。しかし、米価だけを見ていても、農業経営の持続性は確保できません。
利益を残す。無理な投資をしない。リスクに備える。人と農地を次の世代につなぐ。
これらを一体として考え、農業経営全体を見直すことが必要です。
やまと-農-では、農業の現場と行政制度の間に立ち、農業者が将来にわたって「続けられる農業」をつくるための支援を行っていきます。
農を、現場から、未来へ。
やまと-農-
参考資料
- 帝国データバンク「『農業』の倒産動向(2025年)」2026年2月9日
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260209-agriculture-br2025/ - 帝国データバンク「『米作農業』の休廃業解散・倒産動向(2026年1-8月)」2026年9月6日
https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260906_rice26y1-8/ - 農林水産省「農林水産基本データ集/農業労働力に関する統計」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html - 農林水産省「令和7年産米の相対取引価格・数量について(令和8年8月)」2026年9月18日
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/260918.html
※帝国データバンクの「倒産」は負債1,000万円以上の法的整理、「休廃業・解散」は同社の定義による集計です。