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令和9年産米に向けて、農業者が今から取り組みたい課題と対策とは

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米価の変動、農家の手取り、生産コストを見直し、持続可能な稲作経営へ

はじめに

令和8年産米の価格は前年の高値から大きく下落しています。一方、肥料、燃料、農業機械、乾燥調製などの費用負担は続いています。

大切なのは米価を予想することだけでなく、「自分の米は最終的にいくらで売れたか」「生産費を差し引いて利益が残るか」「令和9年産に向けて何を変えるか」を数字で把握することです。

農林水産省公表の各年産9月の相対取引価格(全国・全銘柄平均、玄米60kg当たり)は、令和5年産15,291円、令和6年産22,700円、令和7年産36,895円、令和8年産21,293円です。

令和8年産は前年同月比約42%下落しました。ただし、令和5年産の水準を下回ったわけではありません。令和7年産の高値が続くことを前提に収支を組むと、販売収入を過大に見積もるおそれがあります。

これらは集荷業者と卸売業者等の相対取引価格であり、農業者の手取り価格ではありません。

図1 令和5~8年産米の全国相対取引価格

相対取引価格は、集荷業者と卸売業者等との取引価格で、運賃、包装代、消費税を含みます。農家の受取額は、JA概算金・追加精算、民間業者との契約、直接販売、各種費用負担によって異なります。

JA出荷では概算金と最終精算額、民間取引では契約単価と実際の入金額を確認します。費用が既に精算額から控除されている場合、再び差し引かないことが重要です。

図2 農家の実質受取額の考え方

乾燥・籾摺り・調製、検査、包装、集荷・販売手数料、農家負担運賃、保管料などを、出荷先の精算書と施設利用明細から確認しましょう。

自前の乾燥調製施設では、委託料に代わって減価償却費、修繕費、燃料費、電気代、労働費が発生します。年間処理量と稼働率を踏まえ、外部委託と自家処理を比較する必要があります。

生産費統計の「賃借料及び料金」等に含まれる費用を、利益計算で二重控除しないよう注意してください。

4.作付規模によって生産費は異なる

農林水産省の令和6年産米の作付規模別・全算入生産費(玄米60kg当たり)は、1~3haが17,781円、5~10haが13,749円、10~15haが12,188円、30~50haが10,612円、50ha以上が9,978円、全国平均が15,796円です。

全算入生産費には家族労働費、自作地地代、自己資本利子などの評価額も含まれ、現金支出額とは異なります。また、令和6年産の生産費と令和8年産の相対取引価格を直接差し引いて、令和8年産の農家利益とみなすことはできません。

規模拡大によって単位当たり生産費が下がる傾向はありますが、農地分散による移動時間、大型機械の過剰投資などには注意が必要です。

5.損益分岐価格を計算する

損益分岐価格(玄米60kg当たり)=対象となる生産費総額÷販売数量×60kg。例えば10a当たり生産費150,000円、販売数量540kgなら約16,667円/60kgです。

費用の範囲と販売数量の条件を揃え、乾燥調製費などを二重計上しないことが必要です。生産費を回収できても、借入金返済や設備更新に必要な現金が残るとは限らないため、資金繰りも別途確認します。

6.令和9年産の作付計画を見直す

主食用米については複数の販売価格・収量で収支を試算します。麦・大豆等への転換では、排水条件、収量、品質、販売先、機械、労働力、交付金を含めて比較します。

加工用米、米粉用米、輸出用米なども、用途別需要と契約条件の確認が欠かせません。令和9年度予算概算要求の内容は制度確定を意味しないため、未確定の交付金を確実な収入として過大な投資判断をしないようにします。

7.販売契約と資金繰りを見直す

販売先との契約では、単価だけでなく数量、品質、引渡条件、精算時期、費用負担を確認します。保管による販売時期の変更は、保管費用、品質、資金繰りを含めて判断します。

販売価格の回復を前提にせず、価格下落時にも種苗・肥料・燃料の購入資金や借入金返済を確保できるか試算しましょう。

8.収入保険・ナラシ対策・農業金融を確認する

収入保険は青色申告を行う農業者・農業法人の農産物販売収入の減少に備える制度です。ナラシ対策は米・麦・大豆等について一定の要件の下で収入減少の影響を緩和する制度です。

両制度は原則として選択加入です。対象、加入期限、保険料・積立金、補償計算を確認しましょう。資金不足が見込まれる場合は、金融機関等に早めに相談することも重要です。

9.令和9年産に向けた5つの対策

① 令和8年産の販売数量・販売価格・精算額を整理する。

② 肥料、農薬、燃料、乾燥調製、機械償却、地代、労働費を把握する。

③ 販売先・契約条件・精算時期・費用負担を見直す。

④ 主食用米・転作作物・農地集約・作業受委託を比較する。

⑤ 資金繰りと収入保険・ナラシ対策・令和9年度支援制度を確認する。

図3 令和9年産に向けた5つの対策

10.やまと-農-からの実務アドバイス

米価の予想だけに頼らず、手取り価格・生産費・販売契約・資金繰りを整理することで、作付維持、農地集約、設備投資の判断がしやすくなります。

やまと-農-(行政書士やまと総合法務事務所)では、農業経営計画の策定支援、農地取得・利用に関する手続、農業法人の設立・変更、補助事業の事業計画書作成・申請手続を支援しています。

ご相談先:https://www.yamato-gyosei.com/

参考資料・注記

農林水産省「米の相対取引価格・数量」「令和6年産米の作付規模別生産コスト」「令和9年度農林水産予算概算要求」「収入保険制度」「経営所得安定対策」。令和8年10月25日時点。

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